強迫性障害とは
強迫性障害とは、自分でも「そんなことはないだろう」と分かっているにもかかわらず、特定の事柄が気になって仕方がなくなり(強迫観念)、その「気になること」をかき消すための行為(強迫行為)を必要以上に繰り返してしまい、日常生活に支障をきたす疾患です。発病する率はおよそ100人に2~3人といわれています。
強迫性障害の症状
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不潔恐怖・洗浄強迫
例えば、ドアノブや公衆トイレの中などが細菌やウイルスで汚れているように思えてしまい(強迫観念)、手を洗い続けたり、シャワーをし続けたり、ドアノブに触れることや公衆トイレに入ることを避けたりします(強迫行為)。
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加害恐怖・確認強迫
外出時にガスコンロの消し忘れや鍵の閉め忘れなど、自分の過失によって起こるかもしれない事故や災害が気になり(強迫観念)、何度も確認を繰り返してしまいます(強迫行為)。
また車の運転中に通行人を傷つけてしまったのではないかと気になり(強迫観念)、何度も車から降りて確認したりします(強迫行為)。 -
不完全恐怖
物の数や置かれている位置がきちんとそろっていないとすっきりせず(強迫観念)、並べ直してしまいます(強迫行為)。また書き損じなどが気になり(強迫観念)、何度も書き直してしまいます(強迫行為)。
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その他にも色々な症状を呈するものもあります。
強迫性障害の治療
症状が軽い場合や、若年者に対しては、認知行動療法を中心として、必要に応じて薬物療法も取り入れます。症状が重い成人の場合には、薬物療法を中心に考え、可能であれば認知行動療法も併せて行うという治療法が一般的です。
薬物療法としては、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)が第一選択の薬剤として推奨されています。認知行動療法としては、ERP(エクスポージャーと儀式妨害)と呼ばれる治療法が最も一般的に行われています。これは、不安を感じることにあえて身をさらすことで強迫観念と向き合い(エクスポージャー)、その状態のままで強迫行為をせずに過ごし(儀式妨害)、心配するほどではないということを体感する方法です。